纒向(まきむく)遺跡から出土の木製仮面とは?

e0151340_1742244.jpg
古墳時代前期の大規模集落遺跡として知られる纒向遺跡の第149次調査において、国内最古の事例となる木製の仮面が出土しています。
<木製仮面の特徴>
 長さ26cm、幅21.5cmで、厚さは0.6cm前後。アカガシ亜属の柾目材で作られた広鍬を転用したものであるが、鍬としてはほとんど使用されていないと推定される。鍬の刃縁側を頭、頭部側を顎としており、顎の部分が尖るような平面形態を呈している。
 口と両目の部分には穿孔が存在するが、口は鍬の柄孔をそのまま利用しており、径3.4cmの円形の精緻な穿孔がなされている。対して両目は転用時に開けられたものであり、非常に粗い穿孔となっている。両目の大きさは、縦約1.2cm、横約3.5cmである。鼻は隆起部を削って整形したもので、径0.5cmほどの鼻孔が表現されている。眉毛は線刻により表現されており、その周辺にはわずかに赤色顔料が付着していた。裏面はほぼ平坦であり、顔に覆いかぶさるように湾曲した形態ではない。
<木製仮面は、現代の能・狂言の舞台で用いられている面の原初的な遺物か>
 この木製仮面には紐孔などが見られず、実際に顔に装着して使用したものかどうかを判断することは難しい。しかしその大きさから考えると、実際に顔につけることを意図して作られた可能性が高いと言えるだろう。その場合紐などを用いず、手に持って顔を覆ったものと推定することができる。現代の能・狂言の舞台で用いられている面の原初的な遺物とも考えることができるだろう。
近辺の土坑より出土する木製品が祭祀に使用されたものであると考えるならば、木製仮面もまた、鎌や彩色された盾とともに祭祀の一場面で使用されたと推定することができる。農具である鍬を転用している点を考慮するなら、その祭祀は農耕に関連するものであった可能性が考えられる。
【引用・参考文献】
石野博信(編) 2005『大和・纒向遺跡』 学生社