「楼欄」井上靖の夢について。

 この短編小説は、昭和33年に発表されたが、井上氏はこの作品で始めて西域に寄せる夢の中核の部分に入りこんだ。と本編の解説者中島健吉氏は書いています。
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 人口1万4、5千のロブ湖畔の弱小国家「楼欄」は、大国の漢と匈奴とのあいだに挟まれて、小国の悩みと苦しみを嘗めつくす。漢の為政者は、「楼欄」を匈奴の劫略から守ると称して、この美しい湖畔の町を捨てさせる。(中略)それから数百年、匈奴に占領された「楼欄」を奪回しようと計った若い武将が、そこに発見したものは……。
 その謎は、1900年に、スウェーデンの探検家へディンの手で解かれるのである。「楼欄」の遺址を発見した彼は、1500年の周期を経て「楼欄」の故地へ帰りつつある湖ロブノールをも発見する。そして、二千年近い長い眠りについていた若い美女の柩も同時に発見した。
 これが小説なのか、作者井上靖は、「楼蘭」という国と、楼蘭人の神である河竜の住むロブ楜の滅亡と再現とを描いた。それは歴史である。だが、そこに託された作者の夢の強烈さが、小説というより一編の詩であることを納得させるのである。
 夢は再び来る、だから夢を捨てないでず〜っと持って生きて行くという事を認識させてくれる一編でした。タクラマカンの砂漠から掘り出したような「ぐい飲み」で今夜も夢を見て良く眠れますように。
by citystone | 2010-09-17 11:26 | BOOKS