ビブラートのない「ピュア・トーン」指揮者ロジャー・ノリントン

「ピュア・トーン」指揮者ロジャー・ノリントンさんへのインタビュー記事から。
 最初に私は演奏者にストレートにアイデアを伝え、それに対してはやはり驚きの反応が返ってきたものです。それでも、ビブラートは1930年代までは使われていなかったことなどを説明をし、考え方を理解してもらうと、彼らはきちんと取り組んでくれました。
 ただ、ビブラートというのは、チェーン・スモーキングのようなもので、奏者の立場では、止められないと言うか、自然に手が震えてしまう(笑)という問題はありますけど、でも、ビブラートのない「ピュア・トーン」がいかに美しいかということを彼らが身をもって知ると、もうあとは彼ら自身が積極的にやってくれるんですよ。
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 指揮者として大切なのは、フレージングです。ビブラートをかけなければ、何かそれに代わるものが必要ですね。ただ単に音をまっすぐ伸ばしているだけでは、面白い音楽にはならない。ビブラートなしというのは裸みたいなものですから、服を着ないことにはね。
 フレージングとは音楽の流れを適切な位置で区切ることにより曲に呼吸を与えること。私はそう理解しています。もちろん、ビブラートの有無にかかわらず、音楽にフレージングは必要なのですが、ビブラートをかけてしまうと、フレージングが疎かになりがちなようです。
 音楽は、草木とか、バラの花とか、人間のようなものです。モーツァルトがバラの花というのは、分かると思いますけれど、これはマーラーだって同じなのです。(談)

※弦楽器のノンビブラート演奏を聴くと、普段はあまり聞こえてこないビオラの音が聞こえてきます。
※画像は「Beethoven symphony No3-1M」於:サントリーホール
by citystone | 2011-05-09 19:38 | music