体内時計の仕組み。

e0151340_9414738.jpg
 福岡伸一教授の著書「動的平衡」から、興味深い記述を見つけたのでポイントだけ抜粋をしてみました。
—私(福岡)が三歳の時、体内実験を行って自分の「時間感覚」で「一年」が経過したとします。そして私が三十歳の時、もう一度この実験を行って「一年」を過ごしたとする。さて、この二つの時期に行った実験では、どちらが実際の時間としては長いものになったのでしょうか。それはほぼ間違いなく三十歳の時に感じる「一年」の方が長いはずだそうです。それは私たちの「体内時計」の仕組みに起因している。時間経過は、全てタンパク質の分解と合成のサイクルによってコントロールされていることがわかっています。つまりタンパク質の新陳代謝速度が、体内時計の秒針なのである。そしてもう一つの厳然たる事実は、私たちの新陳代謝速度が加齢とともに確実に遅くなるということである。つまり体内時計は徐々にゆっくりと回ることになる。そして私たちの内発的な感覚はきわめて主観的なものであるために、自己の体内時計の運針が徐々におそくなっていることに気がつかない。—
 つまり、年をとると一年が早く過ぎるのは、実際の時間の経過に、自分の生命の回転速度が付いて行けない。つまりそういうことなのだそうです。

※福岡 伸一(ふくおか しんいち)日本の生物学者。青山学院大学教授。専攻は分子生物学。農学博士(京都大学、1987年)。東京都出身。いのちドラマチック(NHK-BS)レギュラー出演。