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 車谷長吉(くるまたにちょうきつ)さんは、直木賞作家である。その作品は、平成10年に上梓された「赤目四十八滝心中未遂」です。発売と同時に、そのドラマチックな内容が評判となり、当時のベストセラーとなりました。映画化や、脚色されて舞台などでも大評判となった事を覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。車谷さんは、自分は身体障害者だと述べていますが、その生き様や、病の記述などでも特異な作家として時代を体現していると言えるでしょう。
 敬愛する文学者は、森鴎外と夏目漱石を挙げて、このお二人の作に触れた事が現在の自分に繋がっている、また文学の礎になっているとも述べています。この「人生の四苦八苦」は、ご自分の講演された内容のような仕立てになっていて、タイトルを見る限りでは、読みにくそうですが、極めて読みやすい文体になっています。私はいつもの様に図書館siteから予約を入れて借りてきました。
by citystone | 2011-07-27 19:33 | BOOKS
 「逃げる中高年、欲望のない若者たち」と副題の付いたこのエッセイは、近年では中学生へ向けて働くことへの興味を促す目的で『13歳のハローワーク』などの著書で知られる村上龍さんが、昨年の11月に上梓した著書です。
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 挑発に乗った訳ではありませんが、彼が発信する希望へのサバイバル・メッセージととらえて、このエッセイを読めば、何かしらの生きる意味の新しいヒントやアイデアが浮かんでくるかもしれません。 小説家は、常にストーリー・テラーとしてではなく、本というメディアを媒介として読者にことばのメッセージを送り続けて欲しいと思います。それが、受け取られるか否かは分かりませんが、本を読む文化を持っている日本人のためにも…。
 尚、この本の体裁は日本で出版されているほとんどの書籍が、縦書きであるのに、このエッセイは横組である。その分は行間などが工夫されて読者に読みやすくしている。下記の電子ブック対応とともに、今後の書籍出版にも影響を与えるでしょう。
※村上龍さん、電子書籍制作・販売会社を設立へ

村上さん自身の既刊・新刊のほか、瀬戸内寂聴さん、よしもとばななさんらほかの作家の作品も電子化して販売するという。すでに「歌うクジラ」を電子版として上梓している。
by citystone | 2011-02-01 15:53 | BOOKS
 この短編小説は、昭和33年に発表されたが、井上氏はこの作品で始めて西域に寄せる夢の中核の部分に入りこんだ。と本編の解説者中島健吉氏は書いています。
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 人口1万4、5千のロブ湖畔の弱小国家「楼欄」は、大国の漢と匈奴とのあいだに挟まれて、小国の悩みと苦しみを嘗めつくす。漢の為政者は、「楼欄」を匈奴の劫略から守ると称して、この美しい湖畔の町を捨てさせる。(中略)それから数百年、匈奴に占領された「楼欄」を奪回しようと計った若い武将が、そこに発見したものは……。
 その謎は、1900年に、スウェーデンの探検家へディンの手で解かれるのである。「楼欄」の遺址を発見した彼は、1500年の周期を経て「楼欄」の故地へ帰りつつある湖ロブノールをも発見する。そして、二千年近い長い眠りについていた若い美女の柩も同時に発見した。
 これが小説なのか、作者井上靖は、「楼蘭」という国と、楼蘭人の神である河竜の住むロブ楜の滅亡と再現とを描いた。それは歴史である。だが、そこに託された作者の夢の強烈さが、小説というより一編の詩であることを納得させるのである。
 夢は再び来る、だから夢を捨てないでず〜っと持って生きて行くという事を認識させてくれる一編でした。タクラマカンの砂漠から掘り出したような「ぐい飲み」で今夜も夢を見て良く眠れますように。
by citystone | 2010-09-17 11:26 | BOOKS
 サド公爵のお城に行ったときのこと、廃墟にはフワーと風が吹きすぎ、草花が咲き乱れ、本当に綺麗なところでした。彼は夢中でその草花を摘んでいました。たくさん摘んで持ち帰り、ドライフラワーになって二、三年は応接間に飾られていましたが、カサカサになって崩れてしまいました。(澁澤龍子著より抜粋)
 私は、特別に澁澤ファンという訳ではありまあせんが、若い頃から「快楽主義の哲学」などというカッコいいタイトルに惹かれたり、「フランス怪談」、「ドラコニア奇譚集」を積ん読したりしていました。
 この「ドラコニア・ワールド」という随筆は、夫人の龍子さんの著で、沢渡朔さんが撮影を担当されて、見事な「ドラコニア・ワールド」が再現されています。
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by citystone | 2010-08-10 16:12 | BOOKS
 藤沢周平の「乳のごとき故郷」というエッセイ集はふるさと礼賛そのものでしょう。
しかし、「懐古趣味の産物でないとすれば、この大量のふるさと礼賛めいたエッセイは、いったいどこからうまれたのだろうか。そう問われたとき、いまなら私は、それはアイデンティティというもののなせるわざだったろうと答えることが出来ると思う」と氏は書いています。
 これは、自らのふるさとの業というか、土地が空気が染み付いているとでも言ったことでしょうか。平成九年に氏が没して十三年、この日本のふるさとを、アイデンティティを語る作家を、学者を、まだ私は知らない。(2010年4月25日文芸春秋から上梓)
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by citystone | 2010-07-20 14:02 | BOOKS
 かつて幾度となく編纂され、再版を重ねたと思われる文豪室生犀星の「天馬の脚」は、現在は文庫本としてしか購入できませんが、初版本あるいはハードカバーとして上梓された時には、このタイトルがきっと使われたに違いないと思います。
 文人にありながら、このような見事な筆文字(カリグラフィ)は、書道家としても堂々とした世界を創りあげることが出来たのでは、とこの筆耕を見て感じた次第です。
 自分もこのブログが継続できて、自費出版が出来たらタイトルは筆文字にトライしようと思いました。
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by citystone | 2010-06-20 13:25 | BOOKS